3月30日(つづき)

この相場操縦の結果、儲けたディーラーも損したディーラーもたくさんいたと思うが、
大方のディーラーは私も含め、あっけにとられてほとんど何もできなかったのではないか。大手1番2番ブローカーを使っていた人は何が起こっていたのかほとんど把握できな
かった。最大の損失を被ったのは1円上の仲値でドル円を買わされた顧客たちだろう。
現在の厳しいコンプライアンスと規制下では考えられないことだが、当時はおおらかで
ずぼらで原始的で、まだまだ未成熟な市場だった。この担当ディーラーも上席から顧客に迷惑をかけるなと叱られただけで大きな処分は受けなかったと聞いている。大蔵省日銀も事情聴取ぐらいはしたと思うが、結局大きな問題にはならなかった。この当時の担当ディーラーだった人も現在この業界でまだなお元気に活躍している。
その後のドル円であるが、157.00-10まで下落した後海外で上伸し、その日のNYは結局158.60あたりで引けている。4月に入りドル円は160円台に乗せた。活気のある上昇相場だったが、それが天井圏でこの相場は終焉を迎えた。私の記憶ではこの160円台が85年の
プラザ合意後、20世紀の最後の160円台だったと思う。